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盛岡家庭裁判所 昭和39年(家イ)177号 審判

申立人 本田フミ(仮名) 外四名

相手方 検事正 八木胖

主文

本件については調停しない。

理由

本件申立の要旨は、申立人本田竹男、同本田政男、同本田ミサ子、同本田敏男は共にその母である申立人本田フミの非嫡出子として、それぞれ戸籍の記載されているが、いずれも申立外大橋松吉と、右本田フミとの間に婚姻外の関係により、出生したものであるところ、大橋松吉はすでに昭和三六年八月二七日に死亡しており、任意認知を得られないため、検察官を相手方として家事審判法第二三条の調停により認知の審判を求めるというにある。

よつてこのような場合、検察官が相手方となるべき当事者適格を有するか否かについて検討するに、検察官は調停手続において、死亡者に代わる実質的合意に親しまないものであることはいうまでもないし、またかかる場合認知調停手続につき人事訴訟手続法第三二条第二項第二条第三項のような規定も存しないので右規定を調停手続に類推適用することも性質上妥当ではない。そうとすれば結局検察官は正当に相手方となり得る当事者適格を有しないものと結論せざるを得ない。

よつて本件は人事訴訟手続によつて処理されるべきであり、調停をするのは適当でないと認めるので、家事審判規則第一四二条、同第一三八条により主文のとおり審判する。

(家事審判官 工藤健作)

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